シンバル 各部位の名称と解説

シンバル 各部位の名称と解説

シンバルの各部位、名称を解説させていただきます。ドラムセットの中でも太鼓には出せない高い音域を出すシンバルは、ビートを刻んだり、曲の場面展開を華やかに彩るアクセントなどに使われます。

近年はエフェクトシンバルと呼ばれる特殊なシンバルも多く増え、ドラムの可能性は広がり続けています。

  1. 1. シンバルとは
  2. 2. シンバルの名称
  3. 3. シンバルの種類
    1. 3 - 1. ハイハット・シンバル
    2. 3 - 2. クラッシュ・シンバル
    3. 3 - 3. ライド・シンバル
    4. 3 - 4. エフェクト・シンバル
  4. 4. シートシンバル、キャストシンバル
  5. 5. 素材
  6. 6. ウエイト
  7. 7. サイズ
  8. 8. 塗装
  9. 9. ハンマリング
  10. 10. レイジング
  11. 11. まとめ

1. シンバルとは

銅(どう)や錫(すず)などの合金を薄く円形に伸ばした楽器をシンバルと呼びます。ドラムセットでは、太鼓にはない高い音域の音を出すことができます。

2. シンバルの名称

シンバルの名称

① エッジ

シンバルの円周をエッジと呼びます。クラッシュ・シンバルを叩くときは主にエッジ部分を叩いて「ジャーン」という音を鳴らすことが多いです。

② カップ

シンバルの中央にある膨らみ、凸部をカップと呼びます。ライド・シンバルを叩いている時にアクセントでカップを叩いて「カーン」という音を鳴らすこともあります。

③ ボウ

エッジとカップの間をボウと呼びます。エッジやカップに比べて音量が小さく、主にビートを刻む際に叩きます。

3. シンバルの種類

近年では、ハイハット・シンバル、クラッシュ・シンバル、ライド・シンバルは必須と言っていいほど、あらゆるドラムセットに組まれています。

その他にもエフェクト・シンバルと呼ばれるスプラッシュやチャイナなどワンポイントで使うシンバルも多くあります。

こちらでは、それぞれのシンバルの特徴をご紹介させていただきます。

3 - 1. ハイハット・シンバル

ハイハット・シンバル

ハイハット・シンバルは2枚のシンバルを重ねてセッティングしている楽器です。

大きさは14インチが主流で、専用のスタンドに付いているフットペダルを踏むことで2枚のシンバルを閉じたり、開いたりすることができます。

ハイハットのシンバルはそれぞれトップとボトムがあり、トップに比べてボトム側が厚いシンバルを使っていることが多いです。

演奏方法

演奏方法は、スティックでシンバルを叩くときにフットペダル開閉することで音色を変えることができます。

  • ハイハットを開いた状態で叩いた音をハイハット・オープン
  • ハイハットを閉じた状態で叩いた音をハイハット・クローズ
  • ハイハットを少し開いた状態で叩いた音をハイハット・ハーフオープンと呼びます。

また、左足でフットペダル操作して音を鳴らすこともできます。

  • フットペダルを踏んだ時に鳴る音をフット・ハット
  • フットペダルを踏んで即座に離すことで鳴るクラッシュのような音をフット・スプラッシュと呼びます。

3 - 2. クラッシュ・シンバル

クラッシュ・シンバル

クラッシュ・シンバルの大きさは16〜18インチが主流です。スタジオやライブハウスなどでは、16インチと18インチのシンバルを1枚づつセッティングしていることが多いです。

ハイハットやライドに比べて薄いものが多く、エッジを叩くことで「ジャ〜ン」と広がりのある音を得られます。

3 - 3. ライド・シンバル

ライド・シンバル

ライド・シンバルの大きさは20〜22インチが主流です。大きく厚みのあるシンバルは安定感があり、ハイハットの次にビートを刻む頻度の高い楽器です。

3 - 4. エフェクト・シンバル

エフェクト・シンバル

エフェクト・シンバルは明確な定義があるわけではないのですが、ハイハット、クラッシュ、ライド以外のシンバルをエフェクト・シンバルと呼びます。

画像左のチャイナ・シンバルや右のスプラッシュ・シンバルもエフェクト・シンバルと呼び、他にもベル、穴空き、重ねシンバルなどかなりの数があるので、詳しい内容は別記事で紹介させていただきます。

4. シートシンバル、キャストシンバル

シンバルの製法は主に、シートシンバルとキャストシンバルの2種類に分かれます。

シートシンバル

シートシンバルは1枚の金属板をくり抜いて作られています。

キャストシンバル

キャストシンバルは溶かした合金を金型に入れて作られています。シートシンバルと比べて製造工程が多く高価なモデルが多いです。

5. 素材

シンバルの素材は主にブラスやブロンズという合金が使われています。

ブラス

ブラスは銅(どう)と亜鉛(あえん)の合金で、5円玉と同じ素材になります。真鍮(しんちゅう)、黄銅(こうどう)とも呼ばれます。

ブロンズ

ブロンズは銅と錫(すず)の合金で、10円玉と同じ素材になります。青銅(せいどう)とも呼びます。

PAiSTE(パイステ)の2002シリーズを例に挙げると銅92%、錫8%のブロンズ合金が使われていて、それぞれメーカーやシリーズによってオリジナル配合の合金が使われています。

6. ウエイト

ウエイト

ウエイトとはシンバルの厚みや重さを表していて、主に下記の5種類があります。

  • THIN(シン)薄い
  • MEDIUM THIN(ミディアムシン)THINとMEDIUMの中間
  • MEDIUM(ミディアム)中間
  • MEDIUM HEAVY(ミディアムヘヴィー)MEDIUMとHEAVYの中間
  • HEAVY(ヘヴィー)厚い

ウエイトが変わることでボリューム(音量)、サステイン(余韻)、レスポンス(立ち上がり)、ピッチ(音の高低)が変わります。

7. サイズ

サイズ

サイズはシンバルの大きさを表しています。サイズが変わることでボリューム、サステイン、レスポンス、ピッチが変わります。

シンバルを選ぶときはウエイトとサイズを確認しておくと、音の傾向がわかるようになります。

8. 塗装

シンバルの塗装には、塗装のしてあるものと塗装のしていないものがあります。また、○○仕上げ、○○フィニッシュとは最終的にどのような仕上げ方をしたかを表しています。

ナチュラルフィニッシュ

ナチュラル

ナチュラルは成形後にハンマリングやレイジングのみを行なった状態のシンバルです。

ブリリアントフィニッシュ

ブリリアント

ブリリアントは成形後にハンマリングやレイジングを行なった後に研磨加工をして磨き上げたシンバルです。

トラディショナルフィニッシュ

トラディショナル

トラディショナルは各メーカーによって製法は異なりますが、伝統的な製法などでヴィンテージシンバルを再現したシンバルです。

カラーフィニッシュ

カラー

PAiSTeやDOPPLERで発売されているシンバルで、元々はMVやTVでのヴィジュアル表現のために塗装されたシンバルです。

カラーコーティングにより乾燥したサウンド、短いサスティン、アタックの強調がされその音色を好んで使うプレイヤーもいます。

9. ハンマリング

ハンマリングとは、シンバルの表面にある凹凸(ハンマリング痕)のことです。ハンマリングには、マシンハンマリングとハンドハンマリングの2種類があり、どちらもシンバルの響きを豊かにします。

マシンハンマリング

マシンハンマリング

機械を使ってハンマリングを行っているので、音の広がりが均一でスッキリとした音色になりやすいです。

マシンハンマリングでも位置や強度を変えて、ハンドハンマリングのような効果を得ているシンバルもあります。

ハンドハンマリング

マシンハンマリング

シンバル職人が1つ1つ手でハンマーを叩いて作られています。同じメーカーの同じシリーズでも1つ1つ音が違います。

マシンハンマリングと同じように音の広がりが豊かですが、よりダークで倍音の多いサウンドになる傾向があります。

10. レイジング

レイジング

シンバルの表面にある円形の溝のことをレイジングと呼びます。ハンマリングと同じようにシンバルの響きを豊かにすることができます。

溝の形や深さによって音色が変わるので、長年使っていると音色が変化していくことがあります。

11. まとめ

今回は、シンバルの各部位、名称を解説させていただきました。シンバル1つでも非常にバリエーションが多いので、どんなシンバルが欲しいのか記事を参考にしていただければ幸いです。

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